市場・思想2026.06.0712分で読めます

なぜ「100万円以下」の Web・アプリ開発を、ひとつの市場として立てるのか

100万円以下の Web 制作・アプリ開発という価格帯は、 これまで市場として独立に扱われてこなかった。 制作会社の見積もりは200万から始まり、フリーランスへの発注は単発の小ジョブ扱い。 その間にぽっかり空いている「自分専用のものを30〜100万で作りたい」需要は、 どこにも行き場がないまま検索結果を漂って、最終的にテンプレ SaaS に落ちている。 mitsumon は、この空白を市場として立てるために作った。

なぜここが空白になっていたのか

既存の B2B マッチングサイト(比較ビズ、アイミツ、発注ナビ、Web幹事)は、 全部「制作会社を発注者につなぐ」モデルで動いている。 この構造で100万以下の案件を扱おうとすると、サイト側の採算が成立しない。

マッチングサイトの収益は、案件成立時の業者側成果報酬(単価の10〜30%)が一般的。 単価が500万なら手数料は50〜150万になるけれど、単価100万だと10〜30万。 営業コスト、業者審査、サポート、システム維持を考えると、 小さい案件1本を扱うコストが手数料を超えてしまう。 だからどのサイトも、自然と「単価が大きい案件しか相手にしない」運用に寄っていく。

結果として、200万以下の案件は問い合わせフォームに入れても放置されたり、 「予算が合いません」で蹴られる。 発注者側からすると、自分の案件が「小さすぎて誰も興味を持たない」状態。 これは技術的な難しさの問題じゃなくて、純粋にビジネスモデルの構造の問題。

個人法人・マイクロ法人は、なぜ既存のサイトに乗らないのか

本来、100万以下の Web・アプリ開発を成立させられる供給側は存在する。 個人法人(1人法人)、マイクロ法人(数名)、独立した個人エンジニア。 この層は、人件費階層がそもそもないので、同じものを制作会社の3〜5分の1の値段で作れる。 じゃあなぜ既存マッチングサイトに登録してこなかったか。

  • 登録要件が「法人格 + 数年の実績 + 売上規模」など制作会社前提で、個人法人が弾かれる
  • 掲載案件の予算帯が高すぎて、自分の値段感と合わない(200万からの案件を見ても何も決められない)
  • サイト側の手数料が単価の20%前後で、小さい案件では手取りが薄すぎる
  • 競合が制作会社の営業マンで、提案資料の物量で負ける

つまり、需要と供給は両方とも存在しているのに、 既存のマッチングサービスの設計が「制作会社モデル」に最適化されていて、 両者がそこで出会えていない。これがこの10年くらい続いている状態。

なぜ「今」なのか

この空白は前から存在していたけれど、「今やる」理由はいくつか別の方向から効いてくる。

供給側が厚くなった

リモートワークが一般化して以降、開発者が独立する閾値が下がった。 会社員と並走しながらの個人法人、フルリモートで全国の案件を受けるマイクロ法人、 副業として継続的に受託する個人エンジニア。 この層が、エンジニア人口の無視できない割合になった。

彼らの多くは、案件を継続的に取れる窓口を欲しがっている。 知人経由の紹介に依存していて、月によって受注がゼロになる不安定さを抱えている。 既存のクラウドソーシングは単発の小ジョブ中心で、30〜100万の中規模案件は流れてこない。

工数を圧縮できる技術が成熟した

Flutter、Next.js、Firebase、Vercel、Supabase、Cloudflare Workers。 これらの技術スタックを組み合わせると、 以前なら数百万かかったものが、まともな品質で100万以下に収まる。 フルスタックで全部を一人で見られるエンジニアが、その差分をそのまま値段に反映できる。

ここを「安かろう悪かろう」と見るのは誤解で、 実際にはコードの行数も品質要求も下がっていない。 定型部分を再利用し、設計判断を1人〜数人で完結させることで、 「人を増やせば品質が上がる」前提に対する反例を作れるようになった、というのが正確。 これは大規模制作会社の人月モデルでは構造的に出せない値段になる。

発注側の需要が小規模化した

この10年で、Web・アプリを必要とする組織の幅が変わった。 従来は中堅以上の企業がメインだったところに、 スタートアップ、個人事業主、副業、店舗単位の小規模事業、自治体の単発案件、と 「予算100万以下しか取れないけど、自分専用のものを作りたい」発注者が増えた。

この層が制作会社に問い合わせて「200万からです」と言われたとき、 選択肢は実質的に3つしかない。

  • 諦めて、テンプレ SaaS(ペライチ、STUDIO、Wix、Shopify テーマ)で済ませる
  • クラウドワークス/ランサーズで個人に直接依頼する(リスク管理は自前)
  • 知人ツテで個人法人を探す(ツテがない人には選択肢にならない)

テンプレ SaaS は便利だけれど、「自分の事業の固有な要件」を入れるのに必ずどこかで詰まる。 個人直接発注は、契約・進行管理・トラブル時のエスカレーション全部を発注者が負う。 ツテに依存するのは、そもそも届かない人が多すぎる。

だから、空白の市場の発注者は、今この瞬間も「もう少しまともな選択肢があるはずだ」と 検索結果を行き来している。そこに置ける選択肢がなかった、というだけ。

mitsumon が何を変えるのか

単に「安い業者を紹介するマッチングサイト」では、既存サービスと同じ構造の延長になる。 mitsumon が変えるのは、価格を作っている「構造そのもの」を1段降ろすこと。

掲載企業を限定する

個人法人、マイクロ法人、独立個人エンジニアだけ。 中堅以上の制作会社は掲載しない。営業会社(自社で開発しない再委託業者)も掲載しない。 この条件で絞ると、人件費階層が自動的に消える。 営業・PM・ディレクター・エンジニア・管理職と、案件1本に5人分の人件費が乗る前提が崩れる。

中間マージンを置かない

発注者と掲載企業を直接つなぐ。間に運営が入って中抜きする構造を取らない。 元請け→下請け→孫請けの階層がそもそもないので、実工数の数倍が請求に乗ることがない。

価格帯を独立に表示する

カテゴリページに「制作会社相場 60〜200万円」と「mitsumon 掲載企業 15〜80万円」を並べて出している。 この対比は単なるマーケティングじゃなくて、 「制作会社モデルの値段は構造のせいで下がらない」「mitsumon の値段は構造を変えたから出せる」 の事実説明として置いている。技術が違うわけじゃなく、構造が違う。

誰のための場所か

以下のいずれかに当てはまる発注者には、mitsumon が向いている。

  • 制作会社に問い合わせて「200万からです」と言われて諦めた経験がある
  • テンプレ SaaS では足りないけれど、自社専用に作る予算で詰まっている
  • 個人法人に直接頼みたいけれど、ツテがない
  • クラウドソーシングの単発依頼では、案件規模が大きすぎて回せない
  • スタートアップ・小規模事業で、最小の予算でまず動くものを作りたい

逆に、SLA担保、24時間運用、業種規制対応、セキュリティ監査など、 体制と実績で担保するタイプの要件が中心の案件は、mitsumon の掲載企業では受け切れない。 そういう案件は素直に制作会社・SIer に行くほうが結果として安く済む。 市場を立てるというのは、「向かないものは向かない」を明示することでもある。

事業として見ている景色

mitsumon は、誰かが取り損ねているニッチを拾うサービスじゃない。 制作会社の人月モデルが構造的にカバーしない領域に、 本来の需給ペアを置き直すための場所として作っている。

数年後、100万以下で自社専用の Web・アプリを作るのは、 今のように「ツテと運次第」じゃなくて、誰でも普通にできることになるはず。 テンプレ SaaS で間に合わせる選択と、制作会社に200万払う選択の間に、 「個人法人・マイクロ法人に30〜100万で頼む」が当たり前の第3の選択肢として置かれている世界。 その手前のタイミングで、市場として整える作業をしている。

相談・見積もり依頼はどちらも無料。要件が固まっていなくても構わない。 運営に話してから業者選定に進めたい場合は、まず相談窓口から入ってほしい。

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条件を入力するだけで、要件にあう掲載企業から見積もり提案が届きます。迷う部分があれば、運営に相談する形でも構いません。