ホームページを30万円で作る、その中身
ホームページを30万円で作りたい。 この予算で検索すると、出てくるのは「ホームページ制作 50万〜」と書いてある制作会社の見積もりページか、 ペライチ・STUDIO・Wix といったテンプレ SaaS の紹介記事。 本当に欲しいのは、その間にある「ちゃんと自社のホームページを30万で作る」選択肢のはずなのに、 そこに辿り着くページが業界に少ない。 受託で30万のコーポレートサイトを何件も受けた立場から、この値段で実際何が作れるかを書く。
30万を時間で割り戻すと何日になるか
個人法人の人月単価はだいたい60〜100万。 30万円分を実働に換算すると、8〜12日になる。1日8時間で動く前提で、カレンダー上は2〜3週間。 ここが「30万円のホームページ」が入る箱のサイズ。 この日数で組み立てられる範囲が、そのまま30万の中身になる。
8〜12日で組める内容
コーポレートサイトとしてよくある構成だと、5〜8ページ前後で収まる。 トップ、事業内容、サービス、会社概要、ニュース一覧、問い合わせ、くらい。 レスポンシブ対応はもちろん込み。問い合わせフォーム1つ。 ホスティングは Vercel か Netlify への静的デプロイ。WordPress は載せない。 Google Analytics のタグだけ埋め込んで、計測の詳細は別建て。
この構成だと、デザインに3.5〜4日、実装に4〜5日、修正対応と公開作業で1〜2日。 個人法人で1人が見るなら、これでカレンダー2週間半に収まる。 マイクロ法人でデザイナーと実装者が分かれていても、3週間あれば公開できる帯。
30万に入っていないもの
値段の差はここに出る。 発注者が「これくらいやってくれるだろう」と期待しているものが、30万の見積もりには大体入っていない。
- 本文コピー(テキスト原稿)の制作。1ページ分でも10〜20万かかる別建て
- 撮影・イラスト発注。ストック素材以外を使うなら別予算
- WordPress 化、CMS化。社内で文言を編集したいなら別途+20〜30万
- 細かい計測(GA4のイベント設計、Looker Studio)
- 外部CRM、メール配信ツール連携
- 動きの込み入った演出、フルアニメーション
多言語対応も入っていない。 英語ページが欲しいなら、ページ数分の翻訳工数とテンプレ調整で+5〜10万くらい乗る。
なぜ制作会社の50万より、個人法人の30万のほうが安く済むのか
同じ8〜12日の作業を制作会社に頼むと、人件費階層と中間マージンの構造で値段が3倍くらいになる。 営業、PM、ディレクター、デザイナー、エンジニアの5〜6人が薄く関わり、 リスクバッファとオフィス固定費が乗って、結果として実工数の3〜4倍が見積もりに出る。 これは制作会社が悪いんじゃなくて、組織を持っている前提だとこの値段にしないと会社として回らない、 という構造の話。詳細は別記事に書いた。
30万で頼むときに、発注側で握っておくこと
この予算で進めるには、発注者側がいくつか決め切っていないと回らない。 逆に言うと、ここを握れていれば30万でちゃんとしたものが出る。
原稿は自分で書くか、ライターを別途手配する。業者側に「いい感じの文章で」と任せるのは無理。 写真は自社支給か、ストック素材で済ます。撮影が必要なら別予算。 デザインは1案で進める。複数案出して選びたい場合は工数が乗って、その分値段が上がる。 修正回数は2〜3往復まで。「全体やり直し」は別案件扱いになる。 要件は最初に決め切る。途中で「やっぱりこのページも追加」が発生すると追加見積もり。
この4〜5点を発注者側で抱えられるかどうかで、30万で通るかが決まる。 慣れていない発注者だとここで詰まるので、業者選びの前に運営で30分話したほうが結果として早い。
30万では作れないケース
全部が30万に乗るわけじゃない。 この予算で受けると詰む案件もある。
- 独自性のあるデザインを5案以上から選びたい
- 動きや演出の比重が大きいブランドサイト
- 10ページ以上の大規模構成
- 多言語サイト
- 商品マスタが大量に入る(実質ECや会員サイト)
- SLA、24時間運用、業種規制対応が要件
これらは50〜100万の帯、もしくは制作会社・SIerのレンジ。 どこに頼むかは値段じゃなくて要件のサイズで決まる。
体制のリスクと、その向き合い方
個人法人の1人体制で30万のホームページを作るとき、 当然「本人が体調を崩したら止まる」というリスクがある。 これは制作会社の複数人体制では起きにくい。
ただ、対策はある。 コードを GitHub にちゃんと上げてもらい、リリース時にリポジトリの権限を発注者側に渡してもらう。 簡易な運用ドキュメント(デプロイ手順、環境変数の置き場所、ドメイン管理)を別ファイルで残してもらう。 この2点が押さえられていれば、最悪別の業者にコードを引き渡して続行できる。 mitsumon の掲載企業には、この受け渡しは前提条件として依頼している。
申込からの流れ
進め方は2つある。 要件と予算がだいたい固まっているなら、見積もり依頼フォームから条件を出すと、 2〜4社の掲載企業から1〜2日で見積もり提案が届く。 そこから1社選んで契約・発注に進む。
まだ要件が固まっていない、何が30万に入って何が入らないかを決め切れない、という段階なら、 運営に相談する形でも構わない。30分くらい話して、要件を整理してから業者選定に進める。 どちらも料金は発生しない。
ホームページは公開して終わりではなく、リリース後に文言を変えたり、ページを追加したりが必ず発生する。 この保守をどうするかも、契約段階で握っておくと後で揉めない。 月3〜5万のリテイナー契約を結んでおくと、軽い修正は都度見積もりなしで動かせる。 年間で60万くらいの予算感。ここまで含めて30万を判断材料にすると、最終的な持ち出しが見えやすくなる。
ホームページ制作の条件を入力するだけで、対応企業から見積もり提案が届きます。要件が固まっていなければ、運営に相談する形でも構いません。