LP制作 30万と100万、何が違うのか
同じ「1ページのLP」でも、見積もりは30万から100万以上までふつうに開く。 ページ数で説明できない差なので、最初に見たときは「なんでこんなに違うんだ」と感じる人が多い。 実際に何度か受けて、何度か断って、どこに値段がついているのかを工数ベースで書く。
30万のLPに、何が入っているか
ここで言う「30万のLP」は、個人法人やマイクロ法人に直で頼んだ場合の現実的な下限。 制作会社経由だと、同じ内容で80〜120万くらいになる帯。 中身としては、だいたいこのあたりで作る。
- 原稿は支給。構成案は発注側が用意するか、軽い相談1往復で固める
- デザインカンプは1案。色味とフォントの方向性をヒアリング1回で決める
- 修正は2〜3往復まで。「全体やり直し」は対象外
- コーディングはVercel/Netlify などへの静的デプロイ前提。WordPress 化は別料金
- フォーム1つ、送信先はメールかGoogleフォーム連携
- 計測はGA4タグ埋めるだけ。コンバージョンの細かい設定は別料金
- 納期は2〜3週間
この範囲で組むと、デザイン3〜4日、実装3〜4日、修正対応とテストで2日くらい。合計で実働10日前後。 個人で動くなら、これでだいたい時給5000円換算くらいに収まる。
30万に「入っていない」もの
値段の差は、実はここに集約される。 発注側で「これくらいやってくれるだろう」と思っているものが、30万の見積もりにはまず入っていない。
- 原稿(コピー)の制作。1ページ分のコピーをライターが書くと20〜40万かかる
- 競合調査・ターゲット定義・訴求軸の設計。これだけで5〜15万
- デザインカンプ複数案(A/B案を出して選ぶ進め方)
- イラスト・写真撮影・動画制作。ストック素材以外を使うなら別建て
- A/Bテスト機構、ヒートマップ、フォーム途中離脱の計測
- WordPress 化や、独自CMS でクライアントが文言を編集できるようにする工事
- 外部CRM(HubSpot, Salesforce など)連携、メール配信ツール連携
- 公開後の改善PDCA、運用代行
100万のLPで足されるもの
100万に予算を上げたとき、ページ数が3倍になるかというとそうはならない。LP は1ページのまま。 足されるのは「決め切るための工数」と「公開後に動かせる仕掛け」。
決め切るための工数
- ヒアリングと要件整理に2〜3回(合計5〜8時間)
- 競合5〜10社のLP分析、訴求軸を3〜5つ用意して選ぶ
- コピーライティング込み(または外部ライターをアサインする費用)
- デザインカンプを2〜3案、ファーストビュー違いで提示
- 修正は5〜6往復まで吸収
公開後に動かせる仕掛け
- WordPress 化、または独自の軽量CMS。文言・画像をクライアントが直接編集できる
- フォーム複雑分岐(業種別・予算別に問い合わせ先振り分け)
- GA4 + GTM でコンバージョン詳細計測、Looker Studio で簡易ダッシュボード
- サードパーティ計測(Microsoft Clarity, Hotjar など)の埋め込み
- 軽い改善PDCA1往復(公開後1ヶ月の数字を見て、ファーストビューだけ差し替えなど)
ここまでやると、実働で20〜25日。 コピーライターを別に立てる場合は、その人件費がそのまま見積もりに乗る。
結局、何が値段の差を作っているか
LPの値段は、ページ数ではなくて「考える時間と決める時間」にほぼ全部乗っている。 コーディングとデザインの作業時間自体は、30万のLPでも100万のLPでもそう大差ない。 差は、訴求を固めるためのリサーチと、選択肢を複数用意して検討する手間。
だから、自分で訴求が固まっていて、原稿も用意できる発注者にとっては、30万で頼むのが正解になる。 逆に、「何を売りに出せばいいか自体わからない」状態で100万のLPを頼んでも、 制作会社はそこを設計する人を確保できないので、結局60万くらいで作って残りはマージンに消える、 ということが起きる。これが業界の現実。
判断の目安
ざっくりこのあたりで切ると外しにくい。
- 原稿あり・訴求固まり・素材あり → 30万で足りる
- 原稿あり・訴求迷う・素材あり → 50〜60万。コピーのアドバイスを入れる
- 原稿なし・訴求迷う・素材なし → 80〜120万。コピーライターを入れる
- 定期更新したい → +20〜30万でCMS化
逆に「どれが自分のケースかわからない」というのが一番多い相談で、 これは見積もりを頼む前に運営側で30分話したほうが早い。 フォームに丸投げすると、業者ごとに条件解釈がバラついて、見積もり比較が成立しなくなる。