業務システム2026.06.0711分で読めます

業務システムを安く作る、相場と削れる部分

業務システムを作りたい、で見積もりを取ると、SIerや受託会社から500万・1,000万という数字が返ってくる。 それで一度あきらめて、Excelとスプレッドシートで回し続けている会社をよく見る。 ただ、やりたいことを1業務に絞れば、100万以下で形になるケースはかなり多い。 実際に受けた範囲で、どこに金がかかって、どこを削れば100万に収まるのかを書く。

そもそも業務システムの相場が読みにくい理由

ホームページやLPと違って、業務システムは「何を作るか」で金額が10倍変わる。 在庫管理と顧客管理と予約管理を全部つなげた基幹システムと、 「予約を受けてカレンダーに反映するだけ」のツールは、同じ"業務システム"でも別物。 だから相場という言葉自体があまり機能しない。

それでも目安を出すなら、SIer・受託会社のフルスクラッチで300万〜2,000万、 個人法人・マイクロ法人で50万〜150万、というのが体感の帯。 この差はぼったくりではなくて、後で書くとおり、要件定義の深さと体制の重さから出る差。

100万以下で組める業務システムの形

この予算でやるなら、対象業務を1つに絞るのが大前提。 「社内の困りごとを全部システム化したい」を100万でやろうとすると、全部が中途半端になって誰も使わないものができる。 逆に、一番手間がかかっている1業務だけを切り出すと、十分に作り込める。

  • 予約・受付管理(カレンダー、ステータス、リマインドメール)
  • 顧客・案件管理(一覧、検索、対応履歴、担当者割り当て)
  • 在庫・商品管理(入出庫記録、棚卸し、発注点アラート)
  • 受発注・見積管理(フォーム入力、PDF出力、ステータス追跡)
  • 勤怠・日報・申請(打刻、承認フロー、CSV出力)

このあたりは、1業務に絞れば50〜120万の帯で組める。 作りは、ログイン付きのWebアプリにして、データはクラウドのデータベースに置く。 スマホからもPCからも同じURLで使える形にしておくと、現場で使ってもらいやすい。

ゼロから書くか、既存のサービスに乗るか

100万以下に収めるとき、一番効くのが「全部を自前で書かない」判断。 認証・データベース・ファイル保管・メール送信は、既存のクラウドサービスを組み合わせれば、ここを作る工数がまるごと消える。 管理画面も、よくある一覧・検索・編集の画面なら、土台になるライブラリを使って数日で立ち上がる。

この「乗れるところには乗る」をやるかどうかで、同じ機能でも見積もりが倍違う。 フルスクラッチで認証から帳票エンジンまで自前で書くと、それだけで1〜2ヶ月。 既存サービスに乗せると、その1〜2ヶ月が要件の作り込みのほうに回せる。

何に金がかかっているのか

業務システムでお金が動くのは、画面の数そのものより、その裏の3つ。

要件定義と業務の棚卸し

これが業務システムの最大のコスト。 今その業務を人がどうやって回しているのか、例外処理がどれだけあるのか、を聞き出して整理する作業。 ここを丁寧にやると、それだけで全体の3〜4割の工数になることもある。

逆に言うと、発注側が「今の業務フロー」を文章か図で出せると、ここが一気に縮む。 紙の申請書のフォーマット、Excelの管理表、現状の手順メモ。 この素材があるかないかで、見積もりが20〜30万動く。

権限管理と例外処理

「管理者は全部見られて、一般社員は自分の担当分だけ」みたいな権限の出し分け。 これは画面に出ない割に、裏側の作り込みが地味に重い。 役割が3種類を超えてくると、テストの手間も含めて工数が膨らむ。

100万の帯でやるなら、権限は「管理者」と「一般」の2段階くらいに割り切るのが現実的。 部署ごと・案件ごとの細かいアクセス制御を最初から入れると、それだけで30〜50万乗ってくる。 まず2段階で出して、運用しながら必要になったら足す、のほうが事故らない。

既存システムとの連携とデータ移行

会計ソフト、既存の販売管理、ECのカート。 こことリアルタイムで連携させ始めると、相手側の仕様調査と接続テストで工数が読めなくなる。 100万に収めたいなら、連携はまず「CSVで書き出して取り込む」程度に留めるのが安全。

過去データの移行も同じで、Excelが何年分もあって表記ゆれが激しいと、その整形だけで数日溶ける。 移行対象を「直近1年分」「アクティブな顧客だけ」に絞るだけで、ここのコストはかなり下がる。

実際に90万で受けた予約・顧客管理システムの内訳は、要件整理4日、画面実装12日、権限・通知まわり3日、CSV入出力2日、テストと調整4日くらい。 合計25日でカレンダー6週間。既存の予約台帳(Excel)を発注側が出してくれたので、要件整理がこの日数で済んだ。 会計ソフトとのリアルタイム連携の話が出た時点で、それは別フェーズの見積もり、と切り分けた。

SIer・受託会社で数百万になる構造

同じ規模の業務システムを、SIerや中堅の受託会社に頼むと、相場は300万〜。 要件定義だけで別契約100万、というのも珍しくない。

差は、やはり人件費階層と多重下請け。 営業・PM・SE・PG・テスターが層になって関わり、二次請け三次請けに流れていくと、 実際に手を動かす人の単価の何倍もが最終見積もりに乗る。 個人法人の100万は、要件を聞いた本人がそのまま実装する結果としての100万。

ただ、規模が大きくなると話は逆転する。 部署横断で何十人も使う、可用性やセキュリティ監査が要る、止まると業務が止まる基幹システム。 ここは個人法人1人では受けきれないし、受けるべきでもない。 100万以下で個人法人に頼むのが向くのは、1業務・少人数・止まっても数時間で復旧できる範囲のシステム。

頼む前に決めておくと見積もりが揃うこと

業務システムは、スコープの解釈が業者ごとに最も割れるジャンル。 同じ説明でも50万と300万の見積もりが返ってくる。 最低限ここを発注側で固めておくと、複数の見積もりが同じ土俵で比較できる。

システム化したい業務を1つに絞ること。 今その業務を回している現物(Excel、紙のフォーマット、手順メモ)を用意すること。 使う人数と、必要な権限の種類。 既存システムとの連携を今やるか、後回しにするか。

この4点が揃っていれば、見積もりの幅が50万・100万・300万のどこに収まるかが、依頼前に予想できる。 とくに「連携を今やるか後回しか」は金額への影響が大きいので、ここを曖昧にしたまま相見積もりを取ると、各社バラバラの前提で見積もってきて比較にならない。

進め方

業務が1つに絞れていて、現物の素材も出せるなら、見積もり依頼フォームから条件を出すと、対応できる掲載企業から提案が届く。 まだ「何をシステム化すべきか」から迷っているなら、運営に相談する形でも構わない。 現状の業務を聞いてから、どこを切り出すと一番効くか、そこは100万に収まるのか、を一緒に引いていくほうが結果として早い。

業務システム開発の見積もりを取る

業務システム開発の条件を入力するだけで、対応企業から見積もり提案が届きます。要件が固まっていなければ、運営に相談する形でも構いません。